ゴールドコラム Gold Column
結婚指輪と愛の指輪の歴史
~特徴的な指輪~
古くから世界中で愛されてきた金(ゴールド)の指輪。
その中には一風変わったものもありましたが、そこには愛する人への想いが込められていました。
そういった愛の指輪の歴史と、その意図に触れてみましょう。
金(ゴールド)が選ばれる理由
その色合いが日本人の肌の色にになじむと言われるゴールドリングですが、みなさんはそもそも金(ゴールド)もパワーストーンの一種であるということをご存知でしょうか。
金(ゴールド)は太陽の化身とされ、「富と幸福」「永遠の愛」の象徴とされるのだそうです。まさしく結婚指輪にぴったりですね。
また「精神と肉体の浄化」「不純なものから身を守る」といったパワーもあるとのこと。
金(ゴールド)の指輪をつけていれば幸せで穏やかな生活が送れそうですね。
昔の人々も、そういった金(ゴールド)のパワーを感じとっていたのかもしれません。
双子の指輪、ギメルリング
15世紀に考案され、ルネサンス期に発達したギメルリング。
ギメルとはラテン語で双子を意味する「gemini」が語源になっているのだそうです。
双子のリングとは…?
“15世紀から17世紀にかけてつくられた指輪に、「ギメルリング(Gimmel Ring)」というものがある。これは、一見するとひとつの指輪に見えるが、実は2つの指輪が組み合わされてできている。
婚約の際に、その指輪は2つに分けられ、花婿、花嫁がそれぞれの指にはめる。2つの指輪が重なっていた部分には、誓いのメッセージが彫られている。結婚式のときに、花婿は自分の指輪をはずし、花嫁の指輪と合わせてひとつにする。
彫られたメッセージは、2つの指輪を合わせることによって見えなくなる。
婚約中にだけ見ることのできる、貴重なメッセージというわけである。”
(引用:ブライダルの基本 日本ホテル教育センター)
指輪に彫られたメッセージが婚約中にしか見れないだなんて、結婚した後ちょっと寂しい気もしますが、ロマンチックですね。
どんなメッセージを刻もうか、悩んでしまいそうです。
2つに分かれる指輪と聞くと、飾り気のないシンプルな2つのリングをイメージされる方も多いかもしれませんが、これはそういったシンプルな形状のものだけではなく、それぞれがちゃんと細かい装飾の施された指輪になっているものもありました。この場合は「2つの指輪」というよりは、どちらかというと「宝石を使ったり装飾の施された1つの美しい指輪」を、真ん中から真っ二つに割ったようなものです。
2つの別々の存在だったものが結婚によって1つになるなんてステキですよね。
新郎新婦の2人の絆も、より深く感じられそうです。
ア・イ・シ・テ・ルのリング
19世紀に流行した愛の指輪の中には、幅の広い指輪にダイヤモンドで文字を表したり、宝石の頭文字を組み合わせて、名前や愛を表現したものもあったそうです。
そんな宝石の頭文字で愛を表現された指輪の代表格がこちらの「リガードリング」です。
“ルビー(Ruby)、エメラルド(Emerald)、ガーネット(Garnet)、アメシスト(Amethyst)、ルビー、ダイヤモンド(Diamond)の組み合わせは、それぞれの頭文字をとると好意を意味するREGARDの綴りを成すことから「リガード・リング」と呼ばれ、とくに人気が高かった。”
(引用:指輪-エジプトから20世紀まで 淡交社)
頭文字で表現しているとわかっている2人だけに通じる、暗号のようなメッセージが込められているなんて、ドリカムの「未来予想図Ⅱ」の歌詞みたいだと思うのは私だけでしょうか…?
「未来予想図Ⅱ」に出てくる「ア・イ・シ・テ・ル」のサインは5回点滅させるブレーキランプでしたが、これを宝石の頭文字で表すなら何でしょうね。
例えば…
「ア」…アクアマリン:3月の誕生石。生活や心に潤いを与えてくれるパワーストーン。
「イ」…イエローオパール:太陽のような輝きが心をあたたかく照らしてくれるパワーストーン。
「シ」…斜緑泥石(しゃりょくでいせき):別名「セラフィナイト」。愛をつかさどる天使の石。
「テ」…デザートローズ:「あふれる愛」「みずみずしい若さ」「癒し」の象徴。
「ル」…ルビー:石言葉は「情熱」「不滅」。恋愛力を高める、宝石の女王。
といったところでしょうか。
この並びだと色味的には水色・黄色・深緑・砂色・赤。
「デザートローズ」あたりはパワーストーンではありますが、輝きのある石ではないので若干無理があるかもしれません…。
「永遠の愛」の金(ゴールド)のリングに映える色の宝石でメッセージが込められたら素敵ですね。
ピンクゴールドやホワイトゴールドのリングに合わせても良いかもしれません。
あなたならどの石を選びますか?
参照文献
『幸せを呼び込むパワーストーン・宝石事典122』/日本文芸社
『世界・ブライダルの基本』/日本ホテル教育センター
『指輪-エジプトから20世紀まで』/淡交社
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