ゴールドコラム Gold Column
金(ゴールド)にまつわるお話:
FIFAワールドカップのトロフィー
1930年に第1回大会が開催され、今も2018年のロシア大会に向けて予選が開かれているサッカー界の最高峰、FIFAワールドカップ。
この大会のトロフィーがどんなものか、ご存知ですか?
少しずつ進化する優勝トロフィー
現在のトロフィーは純金製で、3代目となるそうなのですが、初代のトロフィーは金メッキを施した純銀製(ピュアシルバー)のものでした。
著名なフランスの彫刻家、アベル・ラフレールの手によるもので、翼を広げた優美な彫像「サモトラケのニケ」で有名な、ギリシャ神話の勝利の女神・ニケが八角形の杯を頭上に支えているというデザインで、高さ約35センチ、重さ3.8キロ。
ワールドカップを企画した当時のFIFA会長の名を冠し、「ジュール・リメ・トロフィー」と命名されました。
初代トロフィーは大会のたびに優勝国を渡り歩いていましたが、最初に3回の優勝を果たしたブラジルに永久譲渡されたため2代目が作られることになりました。
2代目のトロフィーは女神ではなく、2人の選手が地球を支えたデザインで、K18ゴールド製。
高さ36センチ、重さも5キロ弱となり、初代よりも大きくなりました。
そして2005年、3代目としてデザインがわずかに改良された現在のトロフィーは、高さ36.8センチ、重さ6キロ強の純金製(ピュアゴールド)。
新しくなるにつれ、少しずつ豪華になってきているのですね。
狙われ続けたの初代トロフィー
1970年にブラジルに永久譲渡されたトロフィーですが、じつは優勝国を渡り歩いている間に二度ほど危険な目に遭いました。
一度目は第二次世界大戦中。そして二度目は1966年、大会前のロンドンでのことでした。
展示されていたはずのトロフィーが持ち去られていたのです。 こちらは脅迫状が送られるほどの大きな事件になったようですが、最終的に無事解決。
そして次の大会の後、優勝国ブラジルに渡ったのでした。
ところが、ブラジルの所有となった後の1983年、またもや盗難事件が発生してしまったのです。
結局こちらは容疑者が逮捕されたものの、起訴には至らず、トロフィーも未だ行方不明のまま。
盗まれてすぐに溶かされたと言われているそうです。
それが本当なら、もったいないというか…非常に残念ですね。
その後ブラジルには、優れた技術を持つドイツの企業によって作られたトロフィーのレプリカが贈られたとのこと。
そして現在の3代目トロフィーは、保安上の理由から優勝国に授与されるものの保管はFIFAの施設内で行われ、優勝国にはレプリカが贈られるというシステムになったのだそうです。
なお、この3代目トロフィー、大会のたびに世界各地で「FIFAワールドカップトロフィーツアー」と題し、一般公開がされているようです。
純金製(ピュアゴールド)で6キロもあるこのトロフィー、チャンスがあればぜひ見てみたいですね!
参照文献
『絶対に見られない世界の秘宝99』
日経ナショナルジオグラフィック社
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